顧客のことを深く理解する(マーケティングリサーチの留意点)

あらゆる企業が自社の顧客のことを知りたいと願います。
そして、マーケティングリサーチにお金と時間を投資します。

ただ、「自社の顧客の」というより、
人間の本質的な消費行動についての理解が無いと、
表層的なところを知るに終わってしまう
ケースが多いように
感じます。

もちろん、僕が完璧なマーケティングリサーチを出来るという
ことではありません。むしろ、まだまだ浅い方だと思っています。

ただ、アウトプットの善し悪しにかかわらず、
マーケティングリサーチに望む際の、姿勢であるとか、
留意点というのは経験としてわかってきています。

それでは、
僕の考えるマーケティングリサーチの留意点をあげてみます。
そしてその後は、基礎知識としての人間の消費行動について
展開して書いていきたいと思います。

「お客様のことを正しくそして深く理解することは
 あらゆる企業の売上に直結する重要な活動であること」


が本ブログをはじめてから一貫してお伝えしてきていること
です。

今回は、先日お伝えしたマーケティングリサーチをする際の
留意点をもう少し詳しくお伝えします。


■マーケティングリサーチの留意点

1.仮説なくしてリサーチは成立しない
  仮説が立てられるということは、自社に課題が明確にな
  っているということです。「もしかしたら、この商品を
  買う人は、競合のXという商品に不満を感じた人が、何か
  を期待してわが社の商品を購入しているのか?」
といった
  仮説がどれだけ立てられるか。その仮説を検証していく活
  動がマーケティングリサーチです。

2.かといって仮説を限定しすぎてはいけない
  自分達の認識している課題や仮説を限定しすぎるとそれだけ
  検証した結果はYesかNoに絞られてきてしまいます。そうなる
  と「ほー。やっぱりそうだったのか。」といった確認のために
  時間を費やしたという結果になりかねません。調査をした結果、
  自分達の思いもよらなかった新しい発見があること。それが一
  番価値があることなのです。

3.誰でも手に入る2次データ(人口統計など)は徹底的に活用し、
  準備に時間をかける。
  2次データとはあらかじめ公共機関やコンサルティング会社が調査をし
  て公に開示しているオープンデータのことです。業界紙などにも掲載さ
  れている場合がありますし、インターネットなどで検索しても探すこと
  が出来ます。また、国会図書館などに行けばかなりの資料を得ることが
  できます。これらをまず徹底的に探して業界全体の流れや定説を知るこ
  とがとても大切になります。既知のことを調べたって意味が無いですか
  らね。また1回目の調査の精度アップにも効果的です。

4.調査結果には、必然的に自分の思い込みが入ることを十分に留意する。
  調査で得たデータをグラフなどにして単純集計をするまでは誰がやって
  も同じです。ただ、そこから先、そのデータを見て、分析する視点やそ
  のグラフから読み取ることについては、人によって大きく違います。分
  析をする際には、「このグラフをニュートラルな立場で見たら何が言え
  るのか?」、「このグラフを自分なりに解釈するならどうなるか?」と
  いった双方向からの出来る限り客観的な解釈が必要になります。

5.足を使って調査する。
 (簡単な方と大変な方が合った場合は大変な方を選択した方がいい)

  私たちマーケターは得てして、定性的な調査を嫌う傾向があります。イ
  ンタビューや行動観察を実施して、その結果から調査レポートをまとめ
  、解釈をしていくのは時間のかかる作業です。しかし、皆が面倒がる作
  業をするとしないとでは、その後の解釈の深さに差が出てきます。私た
  ちマーケターの知りたいのは、身近で手軽に収集できるデータから平坦
  な物事を見たいわけでは無いのです。競合の企業も知らなかった、顧客
  のクリティカルな心理であり、課題の発見をしたいのです。それは、霧
  の中を手探りで宝探しに出て行くような感覚です。

6.定量調査と定性調査をバランスよく実施する。
  これは以前に解説していますので割愛しますが、量的に数字で把握でき
  ることと、質的にマーケターの感覚で把握できることはまったく違うと
  いう事実です。そしてどちらも優劣はなく同等に重要であるということ
  です。

7.調査している間は、顧客になりきる。
  感覚的な話になりますが、顧客のことを理解したいと思うなら、自分も
  顧客になってみるということです。多くのメーカーのマーケティング担
  当者は「自分はメーカーだから、顧客のことを誰より知っている」と誤
  解しがちです。机上であれこれ考えるより、自社のサービスを体験して
  みることです。サービス業などでは顕著に問題点が明らかになります。
  一連の購買体験も経験してみることで、「あ、こんなことがあったら、
  もっと気持ちいい購買体験になるのにな。」という気づきを得ることが
  出来ます。

8.顧客は本当の理由を自分の口では説明できないことを念頭におく。
  私たち人間の80%は非言語情報でコミュニケーションをしていると言わ
  れています。言葉に出来ることなどほんのわずか、氷山の一角であるこ
  とを理解するべきです。実際に顧客の購買のその瞬間に立ち会ってみる
  ことです。また、その商品を使用するところを見せてもらうことです。
  話を聞くのもアンケートなどではなく、実際に対面式で話を聞くことで
  表情の変化などから多くのことを知ることができます。

9.その調査対象者が本当に調査すべきセグメントかよく吟味する。
  調査をする際には事前にマーケットの中から、自社の顧客となりそうな
  セグメントを探す必要があることは以前お伝えしました。そのセグメン
  トが正しい!と妄信してはいけません。常にほかのセグメントもあるの
  ではないか?本当にこのセグメントが優先順位のもっとも高いセグメン
  トなのか?といった問いかけをして、常に検証していく姿勢を大切にし
  たいものです。

10.顧客の不満足を知ることを恐れてはいけない。
  (不満の中に心理が現れやすい。)
  メーカーの人間として、顧客の不満を、生々しい怒りの声に耳を傾ける
  のは、本当に心苦しいものです(当たり前ですね。)。ただ、そういっ
  た不満の声が上がるのは、少なからず自社の製品やサービスに興味があ
  るから起こる感情であることを知りましょう。裏を返せば、超優良客の
  紙一枚裏にいる顔なのです。自社の顧客に「弊社の製品やサービスで不
  満に思っている点はございませんか?」と聞いてみましょう。それは、
  勇気でもなんでもなく、健全な企業であり続けるために惜しんではいけ
  ない努力なのです。


さて、僕なりに考えるマーケティングリサーチの留意点を10個上げてみま
した。いかがだったでしょうか?
もっともっと留意するべき点はあると思うのですが、今回はこのあたりでや
めておきます。それでは、さらに顧客のことを深く理解するために必要な、
知っておきたい基本的な人間の心理
についてお話させていただきます。





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